9つの性格


 人はみんな同じではありません。社会を形成する動物はそれぞれが個性を持っており、異なる能力、適性、性格を持っています。

 みんなががんばり屋だとそのうちみんながつかれます。みんながおっとりとしていると危機に対応できません。それぞれが違う個性を持ち寄ることにより社会は多様性を持ち、様々な自体に対応することが出来るようになります。

 よく組織がうちで欲しいのはこんな人材だとか言うことがあります。でも同じような人を集めればいい組織が出来るとは限りません。同じような人と言うことは良いときにはみんなが良いですが、悪いときにはみんなが悪いと言うことになってしまいます。図に乗りそうな時に苦言を呈する人、落ち込んでいるときには励ましたりする人、みんなの息抜きやお互いの調和をはかる人、
いろんな人がいてそれぞれのパーソナリティを発揮できる組織こそ健康な組織です。ひとつのあり方しか許されない組織はいびつであり、長期の繁栄をすることはできません。

 
みんな一人ひとり異なるということを認識し、お互いの良い部分を尊重し合うという事が大切です。

 僕が好きな考え方の一つに
エニアグラムと言うものがあります。パーソナリティ心理学の一つですが、人の性格は大ざっぱに分けると9種類あり、それぞれが長所・短所を持っているというものです。

 人の心にはメカニズムがあります。1つの現実に対して、それをどう受け止めどう反応するかは人それぞれです。でもそのメカニズムにはある程度のパターンがあります。それが9つの性格です。自分が心の中から突き動かされている衝動を感じるときは自分の存在意義に最もあっているものと向き合っていると言うことです。何かをしていても空虚に感じるときには自分はそれをするために生まれてきたわけではないのかも知れません。

 エニアグラムを勉強すると良いことはたくさんあります。その考え方の最大の特徴は、9つのタイプの中で
優れたタイプやだめなタイプは存在せずそれぞれのタイプには意味があるということです。

1.
自分を責める必要が無くなる
 それぞれのタイプはそれぞれ適性、長所・短所を持っていて場合により良い部分が目立ったり悪い部分が出たりします。
自分の欠点が見えているときは自分のタイプの短所が出ていると言うことです。それを補うように注意と成長をしていけばいいのであり、自分自身を否定する必要はありません。悪い部分が出たときには、そのタイプが持つ特徴のせいだと思えばいいのです。

2.
他人の言動にいちいち過剰反応する必要が無くなる
 人が自分に対し不愉快な言動をした場合、それはその人が持つタイプの短所が出ていると言うことでもあります。そう考えると
他人の不愉快な言動は人間観察の対象となります。

3.
成長するための羅針盤となる
 あくまでも自分は自分です。他人になる必要もなく、なることも出来ません。自分が自分らしく生きていくためにどうあるのが一番自然か、それを考える手助けになります。例えば偉人の姿を見せ、そうなることを強要することは無意味です。すばらしく見える人は自分のパーソナリティの良い部分を最大限に成長させ発揮した人であり、自分の持つ適性が異なるのなら偉人を目指してもしょうがありません。あくまでも自分の長所をより生かせる様になるために成長していくのです。

 成長していくことは人にとって人生の意味の一つでもありますが、目指す方向が違っていては疲れるだけで意味がありません。人は皆何かを成すべきために生まれ、生きています。しかしそれを成すためには自分がどういう人間かを知ることなしには達成することは不可能です。自分が桂馬なのか香車なのかを知らずして前に踏み出すことは出来ません。自分が何者かを知ることは自分がどういう風に社会に働きかけていくのかという目安でもあります。

 人の存在は本来みな意味を持っています。でもそれを発揮するためにはそれぞれが成長し、自分が社会に持ち寄れる何かを身につけていく必要があります。
 社会の目指すものがしっかり見えていれば自分が持ち寄る意識を持ちやすいですが、今は混沌の時代です。社会が個人のあり方を指し示さない時代では、自分のあり方はまず自身で考えていかないといけないでしょう。
 また自由とは自分のあり方を自分で決めていかないといけないと言うことでもあります。自由をはき違え、欲望の赴くまま他人に迷惑をかける人間に社会的な価値はあまりありません。
自分を確立させ、自分と社会を幸福にさせるように働きかけていく人間こそ、価値のある人間だと思います。命の価値は別にして、社会の中での自分の価値は自分自身で築いていくしかないのです。

 また社会の存在意義は所属する人が
それぞれ自分らしく幸福に生きていけるようにすることです。個人は社会のためのコマではありません。社会の仕組み自体が不幸な人を作り出しているのなら、そこにはいびつな部分があると言うことです。社会に潜む病原は明らかにし、改善していかないといけません。社会が不安定なのは悪い部分を引き出される人、人間的に成長できない人がたくさんいると言うことでもあります。社会の健康と個々人の健康は密接な関係にあります。

 個人それぞれが至らない点は素直に認め、お互いに補い合い、感謝し合えることが健康な社会につながっていくのだと思います。「
自己確立した人間同士の相互依存」が最良の人間関係です。欠点のない人間を目指すのは不可能です。欠点をうち消すことに多くのエネルギーを使うのもナンセンスです(人に迷惑をかけないように気をつけないといけないですが)。  
 人は
お互いに寄り添いあい、認め合い、高め合い、補い合い、感謝し合って生きていく動物です。

 ここでは9つの性格の各論には触れません。興味のある方はエニアグラム学会のHPへどうぞ。


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