パラドックスの転換
パラドックスとは「
逆説
」のことです。
一見おかしいように聞こえるけれども、よく考えるとそこに真理を含んでいる
と言うことです。ここでは「
今は常識とは見なされていない考え方
」と言う意味で書いています。
正しいか正しくないか、常識か常識でないかは価値観という概念で判断されます。
価値観の変化によりそれまでは非常識であったことが、常識に変わる
。それが
パラドックスの常識への転換
です。
よく真理を説いた人などと形容される人がいます。しかし実際にはそれまではパラドックスでしかなかった理論を常識としてスタンダードに変化させたということです。
聖人と呼ばれる人たちは真理をこの世にもたらした人ではありません。彼らはパラドックスを常識に転換させた人たちです。
人は
物事に対して自分の価値観で意味づけ
をしたがる動物です。例えば太陽を神様だと思うことは世界中でよくある発想です。その考えが確立するまで太陽は暖かさや過ごしやすさを与えてくれるありがたい存在だ、と思っていたかも知れません。それをいつからか、あれは実は神様で私たちをあそこから覗いているという考えができました。神様としての考えが常識になる前は神様だという考えは非常識でしかありません。
それがしだいに神様としての考えが確立すると、
常識と非常識の立場は逆転
します。それを信じる人にとっては太陽が神様だと言うことはまさしく真理です。
価値観・概念は常に新しく作られているものです。人間が何かを思うとき人によってすこしずつ認識が違うように、
その人が持つ価値観により物事のあり方・受け止め方は違ってしまいます
。
真理というものが何かと考えれば、それはおそらく「
自分を取り巻くことがらのからくり
」だと思います。みんなにとってしっくりくる理論だから真理だろうと思われているだけで、それは真理そのものではありません。人間には絶対的な真理をつかむことはおそらく出来ません。
科学にしてもそれが導き出すのは真理そのものではなく、「
究極の真理により近いと思われる理論
」だけです。科学により全てを説明できるように来る日が来る、と言う考え方はまた妄想だと思います。
社会の価値観が変わる時はまさに社会にとっての真理が変わる瞬間でもあります。それはことがらを説明するものが入れ替わるということです。
人の価値観は変わります。今信じている常識が古今東西通用すると思うのは誤りです。新しい常識のスタンダードは時代や社会に合わせ日々変化していくものです。変化する時代の中で価値観を変化させないことは妄想に信仰をすると言うことです。
時代にあった価値観を作り上げるには、
物事の本質を見ようと言う意志
が必要です。
パラドックスが常識となり得るのはそれが
本質を見ようとしている
ものだからです。物事の表面からは見えない、裏側に隠された真実を観察し、筋道を立ててそこへ到達できる人。それこそが新しい価値観を作りうる人だと思います。
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