ブニヤウイルス科フレボウイルス属のSFTSウイルスの感染によって起こる病気で、マダニがウイルスを媒介します。
新興感染症であり、2013年に国内で初の感染者が出て以来、人で400名以上が感染し、60名以上が死亡しています。発生地域は九州、四国、中国をはじめとした西日本各地となっています。
野生動物の間にすでに蔓延しており(山口の検査ではシカの40%が陽性)、その血を吸ったダニが媒介者となって、人間や犬猫にウイルスを移します。感染したダニの卵から生まれたダニはウイルスを持って生まれて来ます。
マダニに噛まれてウイルスを移されるほか、感染しウイルス血症となった動物の血液や体液に触れることで感染する可能性があります。
症状は、発熱、食欲消失、白血球減少症、血小板減少症、高ビリルビン血症などです。消化器症状やリンパ節腫大などを示すこともあります。
様々な動物で症状を起こしますが、特に猫は重篤な症状を示します。猫では他の動物の感染時よりも大量のウイルスを排泄し、特に口腔内に多くのウイルスが出るため噛まれると危険です。
治療法は対症療法のみであり、有効な治療法はありません。
ワクチンはなく、対策はダニの刺傷を避ける事と、発症動物との接触を避けることのみとなります(特に噛まれたり血液に触れたりは危険)。
感染した場合の人の死亡率は10-30%と高率であり、猫から飼い主や獣医師、動物看護士が感染した事例も報告されているため、注意が必要です。
猫は室内で飼育して外に出さないか、マダニの駆除薬を投与しておいた方がいいでしょう。
夏場に、外で倒れている野良猫を素手で救護するのは、SFTS的には非常にリスクがあります。保護活動をしている人が、猫に噛まれて死亡した事例が報告されています。
可能性のある症例では、獣医師側も手袋、ゴーグル、マスクを着用して診察をさせていただきますのでご了承ください。 |