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FeLVウイルスによって起こる病気で、100万年以上前にネズミからネコにもたらされたと言われている病気です。
感染個体から唾液、涙、尿、血液を通じて体外に排泄されます。ウイルスとの長期間の暴露によって感染に至ることが多く、感染個体とのグルーミングが主な感染経路と見られています。ケンカでもうつるため、オスはメスの1.7倍発生が多いと報告されています。食器を共有するのも止めておいた方がいいです。
また胎盤や乳汁を通じた垂直感染もあり、死産や子猫の死亡の原因となります。
典型例では以下の5つの段階を経過します。
第1期 |
扁桃・咽頭・所属リンパ節でウイルス増殖 |
第2期 |
Bリンパ球・マクロファージに感染、全身にウイルス移動 |
第3期 |
脾・腸リンパ・リンパ節・腸陰窩・骨髄でウイルス増殖 |
第4期 |
骨髄から感染好中球/血小板放出、以降持続的ウイルス血症 |
第5期 |
唾液腺・膀胱粘膜に感染、ウイルスを体外に放出 |
第1〜3期は体の中でウイルスと戦っている段階、第4〜5期は体がウイルスに負けた状態です。
ネコエイズと違い、ウイルスと接触した個体にはウイルスに対しての免疫ができる可能性があります。免疫ができれば、第2〜3期までで終息し、持続的ウイルス血症までは進行しません。
成ネコがウイルスに暴露された場合、起こりえる可能性は次の3つです。
約40% |
免疫獲得。それ以後の感染は起こらない。 |
約30% |
ウイルス感染。持続的なウイルス血症まで進行してしまう。 |
約30% |
潜伏感染。免疫は獲得しないがウイルス血症までは進まない。 |
ただし、免疫力を獲得するかどうかは年齢と大きく関係しており、新生児の段階では70〜100%のネコが感染してしまうと報告されています。
なお、潜伏感染のものではウイルス血症に進んだり、腫瘍性症状を起こすことはまれとされていますが、まだ不明な点もあります。
症状は持続的ウイルス血症まで進行した個体で起こります。症状は非腫瘍性のものと、腫瘍性のものに分けられます。
造血器官が侵されることから貧血や免疫力低下が起こります。二次的な細菌感染やリンパ腫・肉腫などの他、胸腺萎縮(幼若ネコ)、ブドウ膜炎、糸球体腎炎などがおこることもあります。食欲低下や体重減少といった慢性経過をたどりながら弱っていきます。幼弱期の感染では早期の斃死となることが多いようです。
持続的ウイルス血症のネコにおいては3.5年以内に83%の個体が死亡すると報告されています。ネコエイズでは発症しなければ寿命を全うできることも期待できるのですが、ネコウイルス性白血病の方が残念ながら予後は悪いようです。
抗原検査により感染の有無を調べますが、感染後持続的ウイルス血症となるのに4〜6週間かかるため、感染してすぐの時にはまだウイルス抗原が検出できないこともあります。
陽性と検出された場合、ほとんどの場合には第4〜5期に進行して持続的ウイルス血症となっている場合なのですが、中には第1〜3期の一時的ウイルス血症がたまたま検出されることもあり、それはウイルスと体が戦っている瀬戸際かもしれません。望みをそちらにかけるなら、インターフェロンや免疫増強のサプリメントで治療し、1〜3ヶ月後くらいに再検査をするのもひとつの選択肢かと思います。持続的ウイルス血症まで進行すれば予後不良ですが、瀬戸際で持ちこたえれば免疫が勝って回復するかも知れないからです。
感染すると特異的な治療方法もありません。外に出なければ感染しない病気ですので、できれば外に出さないで室内で飼ってあげるのが一番の予防です。
4種、5種など、ワクチンにはネコ白血病も入っているものがあります。外に行く可能性がないコには必要ありませんが、外に行く可能性のあるコではうっておいた方がいいかも知れません。欠点としては、感染予防は100%では無いと言うことと、感染しているネコに接種すると発症の誘因となる可能性が報告されていることです。通常は最初の注射前に(ベストは毎年)血液検査をして陰性であることを確認してから行います。
従来言われていた、白血病ワクチンで肉腫がおこるかもしれないと言う話(ワクチン誘発性肉腫)は、現在はワクチンに含まれるアジュバンド(免疫促進剤のようなもの)によっておこっている可能性が示唆されています(発生は約1万頭に1頭の割合)。3種も5種も同じだけのアジュバンドを含むため、「白血病ワクチンでは肉腫が〜」というお話はしていません。ただし、毎年同じ場所にワクチンをうつことによって腫瘍化しやすいと言われていますので場所を変えてうつことが推奨されています。
公衆衛生的には、人にはうつらないとされていますが、免疫が低下している人においてはあまり密接なふれあいを避けた方が無難かも知れません。
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