ネコの肝リピドーシス




 肝臓の中に脂質がたくさん蓄積し、肝不全となる病気で、特に肥満のネコが1週間以上食欲不振になったときに多発します。
 食餌からのエネルギー補給が無くなると、体は肝臓において
脂肪からエネルギーを作り出そうとします。その時に肝臓の代謝よりも脂肪の流入が過剰になると、代謝しきれなかった脂肪は肝細胞の中に蓄積してしまいます。
 栄養分の中でもアミノ酸(特に
アルギニン)が欠乏すると、脂質タンパクの合成が低下し、脂質の代謝能力が落ちてしまいます。

 症状は
元気・食欲の低下、嘔吐、体重減少、脂漏症、肝の腫大、黄疸などです。ネコでは神経症状が起こることはまれです。
 血液検査は肝酵素の増加、脱水からの腎不全、低カリウム血症などです。エコー検査では肝臓は通常よりも高エコー像となります。
 確定診断は肝臓の生検を行い組織検査を行うことですが、稟告と症状からの判断がメインになります。

 
静脈点滴などの支持療法を行いますが、なによりの治療法は強制給餌でタンパク質などの栄養を補給することです。鼻からカテーテルを入れ、直接流動食を与えます。高炭水化物食は肝臓での脂質合成のもととなるため、原則として高タンパク食を与えます。

 心配なのは
急性膵炎の併発です。肝リピドーシス単独の時には回復率は50%ですが、膵炎併発時には20%と言われています。

 いずれにせよ、時間が経つほど状態は悪くなっていきますので早い段階での診断と治療が必要になります。