ネコのケンカ




 ネコ同士がケンカをしてキバで咬まれると、ネコの口の中の細菌が傷口に入り込み皮下に膿がたまります。最初傷口の表面がふさがって治ったように見えても、だんだん皮下で膿がたまってきて炎症を起こし、キズが痛くなって腫れてきます。最後は皮膚も腐って破裂し、その時点では周囲の組織も大きく死んでいますので、傷口は大きくなります。発熱と食欲低下をおこし、ばい菌が血液中に入り込むと敗血症で死亡することもあります。
 破裂までに皮下に大きな膿瘍をつくりますので、まず膿を排出させ、傷口を洗って抗生物質を使用する必要があります。膿が見られなくなるまで繰り返し洗浄する必要があります。時間が経過すると皮膚の広範囲の欠損となることがありますので早い段階で治療することが必要です。
 治療して膿が少なくなってきても、きれいになってからしばらく抗生物質を使用する必要があります。
早期に治療を止めると、残ったばい菌が再び増殖して、また膿がたまってくることがあります。
 外に行ってケンカをしてくるネコは何回でもけがを繰り返しますので、家の中だけで飼うことが一番です。未去勢の雄は去勢手術をすることによってある程度ケンカを減らすこともできますが、外出する行動は変わらないかもしれません。
 咬傷によるキズもありますが、一番怖いのはケンカによって伝染病を移される可能性があることです。ネコエイズやヘモバルトネラなど、ノラのコが持っている病気が知られています。

ネコエイズ
 ウイルスによって起こる病気で、感染すると治療方法はありません。何年かの潜伏期を経て、発病すると呼吸器症状、消化器症状、皮膚病、口内炎、細菌の易感染、傷の遅延治癒などいろいろな症状を起こします。

ヘモバルトネラ
 赤血球に寄生する寄生虫で、発熱や貧血を起こし、死亡率も高い病気です。抗生物質及び赤血球破壊防止の治療を行います。時に輸血も必要です。