白内障




 水晶体(レンズ)は通常均一な構造をしており透明です。それが白濁することにより視力に障害を起こし、時に失明します。老年性(犬6~8才,ネコ12才)、炎症、外傷、糖尿病、ショック用量のステロイド(猫)などの原因があります。白内障は4つのステージに分かれ、徐々に、ときに急性に進行していく病気です。
初 期:やや白濁してきた状態ですが視力に障害はありません。核硬化症(老年性変化)との鑑別は困難です。
未熟期:大分白くなっていますが、目に光を当てたときに網膜で光が反射する(タペタム反射)のが確認できる状態です。視力に障害が出ており、水晶体は水分を吸収し膨張しています。
成熟期:水晶体は完全に白濁し、光を当ててもタペタム反射は見られません。視力はほとんどありません。水晶体は水分






を失いカチカチになっています。この状態までで進行が止まるものもありますが、
過熟期:成熟期の後、個体により進行するとさらに
 1.
収縮性白内障(水晶体は小さくなり虹彩から脱落)、
 2.
モルガン白内障(水晶体の表面が溶け、中心部が遊離)、
 3.
吸収性白内障(水晶体表面に穴があき中身が溶け出して小さくなって
  いく。水晶体の収縮に伴い視力が回復する可能性があるが目の内部で
  炎症を起こすと失明する。)
となることがあります。

 原因があるときにはその治療となりますが、老年性の時には治療の進行を和らげる目薬の長期使用となります。効果は個体差があります。進行防止ですので、いったん白くなった状態は元には戻りません。
 外科的に水晶体を取り出す方法もありますが、人間の手術よりも難易度が高く、日本で行っている施設は数カ所しかありません。最終手段となりますので獣医師とよく相談してからとなります。