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腹腔内にたまった液体のことを腹水と呼びます。
通常、腹腔には多量の腹水が見られることはありません。腹膜からつくられる液量と、吸収される液量がほぼ等しくなっているからです。
腹水がたまる原因は大きく炎症性と非炎症性の2つに分けられます。
炎症性の腹水は滲出性の腹水とも呼ばれ、何らかの原因により腹腔内で炎症がおこり、その結果として腹水がつくられます。
腹膜炎(腸管由来、外傷性、膵炎関連)、腹部腫瘍、慢性肝障害、猫伝染性腹膜炎などがあります。
非炎症性の腹水は漏出性の腹水とも呼ばれ、血液中の水分が腹腔内に漏れだして腹水となり溜まるものです。
低タンパク血症、肝前性/肝性門脈圧亢進、うっ血性心不全、リンパ腫、リンパ管閉塞などがあります。
いずれにせよ、腹水は潜在的な疾患が基礎にあり、その症状のひとつとしてみられる病態です。
検査は、腹水を細胞学的・生化学的に検査すると共に、血液検査・超音波検査などを行い、基礎疾患を探すことにより行います。
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滲出性 |
漏出性 |
性状 |
粘稠(+)、臭気(+)、
混濁、しばしば凝固 |
粘稠(-)、臭気(-)、
透明、凝固(-) |
比重 |
>1.025 |
<1.018 |
蛋白 |
>2.5 |
<2.5 |
細胞数 |
多い |
少ない |
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溜まった腹水により、横隔膜が圧迫されて呼吸困難の原因となります。また、基礎疾患により痩せている場合もしばしば見られます。腹水と削痩が同時に進行した場合には、飼い主さんが痩せているのに気づかない場合があります。その他、嘔吐や腹部圧痛が見られることもあります。
腹水が多量で呼吸困難を引き起こしている場合には、症状の緩和を目的として腹水の吸引を考慮します。予想されるリスクは、処置のストレス・血圧変動による悪影響、膀胱などへの傷害、繰り返しの吸引処置による蛋白喪失などです。吸引後、また腹水が溜まってくることもしばしばです。
内科的な処置としては、症状と原因により利尿剤や抗生剤、ステロイド、その他の薬を使用します。
予後は、原因により異なります。 |
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