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耳血腫は、耳の軟骨と皮膚の間に血が溜まり、血腫の部分がぽこっと膨れる病気です。
耳は、皮膚-軟骨-皮膚の三重構造になっています。
耳以外の皮膚では、皮下組織が豊富にありますが、耳においては皮膚の下がすぐ軟骨になっており、皮膚の“遊び”がありません。
また、打ったとき、衝撃が吸収されずに軟骨まで伝わり、そのためにも出血がしやすくなってしまいます。
出血が起こると、血液は皮膚と軟骨の間に溜まります。
その時、溜まった血液により、皮膚と軟骨の結合は引きはがされてしまいます。
耳血腫は、しばしば外耳炎と関係しています。
出血するメカニズムとして一番多いのは、外耳炎により耳が痒くなり、ぶるぶると振っている時、机の角など、硬いところに耳があたり、血管が切れて出血が起こる、ということです。
命に関わるような病気ではありませんが、美容上の問題が一番のポイントになります。
血腫をそのまま放置しておくと、血腫がいずれ結合組織に置き換わり、やがて収縮し治癒していきますが、その経過で耳の軟骨が変形し、いびつな形の耳になる可能性があります。
耳の変形は外から見て分かるものですので、飼い主さんにとっては見栄えが悪くなることは、しばしば問題となります(犬は多分気にしませんが)。
治療の目的は、耳の変形をおこさせないことが一番重要なことになります。
そのため、血腫を取り除き、皮膚と軟骨と接着させなければなりません。
耳血腫の治療で大変なのは、血腫を吸引しただけではまた血腫が溜まってくることがしばしばあることです。
耳血腫が起きてから時間がたっているときは、血腫の内腔表面にフィブリンというタンパク質が内張をしてしまい、くっつきにくくなってしまいます。
新鮮な傷でないとき、血腫を吸引し皮膚と軟骨を接合させても、液がまた溜まってくれば、皮膚は容易に軟骨から引きはがされてしまうことになります。
何度か吸引してもまた血腫が溜まってくる場合は、外科的な処置が必要となります。
その目的は、血腫が皮下に溜まらないよう外部に排液されるようにすること、そして皮膚と軟骨の再接着を促すこと、です。
何度か吸引してもすぐに溜まってくるときは、時間の経過と共に、よけいくっつきにくくなっていきますので、ある程度の所で外科的な処置に踏み切る必要があるかも知れません。
耳の変形は、軟骨のダメージの度合い、時間の経過、血腫の大きさ、本人の性格(気にして掻いたり振ったりするか)、などの要因により異なります。
いずれにせよ、発生した場合は、早い段階での診断と治療が大切です。
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