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肝臓に突然重度の障害が起こり、肝臓の機能が不全となった状態です。
原因は様々で、中毒、薬物、食餌、細菌やウイルスの感染、フィラリアのベナケバ・シンドローム、犬の急性膵炎、免疫性溶血性貧血、腹部の外傷、横隔膜ヘルニア、熱射病、麻酔による低酸素状態などです。
慢性肝炎の憎悪時は、以前から元気・食欲の低下、嘔吐や体重減少と言った症状があることが多いですが、急性肝不全では元気だった動物が突然発症するのが特徴です。
肝機能不全の状態になり、元気・食欲の低下、嘔吐、多飲多尿、黄疸、腹痛、神経症状、出血傾向、低血糖など多様な症状を示します。治療しないときの死亡率は高いものとなります。神経症状は肝臓で解毒されるべきアンモニアなどが肝機能低下により全身に回っていると言う状態を示しており(肝性脳症)重度の肝障害を意味しています。
診断はまず飼い主さんからの問診が重要です。特に中毒物質の誤食の時には飼い主さんが見ていないところで起きた場合には原因が突き止められないことが多いです。血液検査で肝酵素の上昇やビリルビン上昇(黄疸)、アンモニア値などを測定します。その他、超音波検査やレントゲン検査を行います。
鑑別診断は慢性肝炎、胆管閉塞、肝臓腫瘍、肝臓膿瘍、溶血性疾患、ネコ甲状腺機能亢進症、ネコ伝染性腹膜炎、ネコ肝リピドーシス、その他です。
治療は原因の除去、安静、点滴入院が中心となります。
中毒物質の解毒は原因が分かっていれば行えることもあります。
肝臓障害により胆汁の排泄がうまくいかなくなると黄疸がでてきますが、胆汁の成分は肝細胞への二次的な障害を起こすため利胆強肝剤を用います。
発生してからただちに治療が開始されることが重要です。傷害された肝組織は壊死し、周りの組織の循環不良と低酸素状態の原因になります。二次的な肝壊死をくい止め、肝臓の再生を促すことための支持療法が重要です。
予後は原因と肝臓のダメージの程度によりますが、肝臓は高い再生能力を持つため、急性期を乗り越えれば良いことが多いですが、予断はできない病気です。
壊死した組織が線維細胞に置き換わり肝硬変という状態になることもあるので、状態を追ってみていくことが大切です。
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