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熱中症とは、過剰な熱が体にこもることによって、体がダメージを受ける病気です。
犬は恒温動物であり、体の外に逃げる熱を補うために体の中で常に熱を作りだしています(外気温は生体よりも低いため、熱は常に外に逃げていきます)。
正常時、体が産生する熱と外に逃げていく熱は釣り合っています。
体の外に放熱される熱量が減少し、体の中で作り出される熱を外に逃がせなくなると、過剰な熱が体にこもり、熱中症となります。
夏場、気温・湿度が多く、風もないような所に放置されると、特に危険です。
高体温にさらされることにより、犬はぐったりして意識の低下を起こし、放置すれば死亡することも非常に多い、怖い病気です。
熱中症でぐったりしているのが確認されたら、まず体温を下げる処置をしなければいけません。
体温を測りながら熱を下げていく必要がありますので、急いで動物病院に連れて行った方が良いでしょう。
熱を下げる処置としては、
1.氷水を脇の下や股(動脈の部分)にあてる
2.水をかけ、扇風機で強力に風をあてる
動脈を冷やすことにより、体をめぐる血液をすばやく冷却することができます。
「水をかけて扇風機」の方法は、気化熱によって強力に熱を奪う方法です。この時に大切なことは、「氷水をかけてはいけない」ということです。気化熱で熱を奪うのであって、直接冷やすのではありません。
あまり冷たい水を体の表面に当てると、皮膚の毛細血管が収縮してしまい、冷却効果が低くなってしまいます。
熱中症の予後は、どれくらい高体温になったか、どれくらい高体温が持続したかにかかっています。
高体温になることによって怖いのは、後から「多臓器不全」の状態になることです。
体温が上がると、体の細胞は代謝が亢進します。それにともない、細胞の酸素消費量が亢進します。
そして、酸素供給量が酸素必要量に足りなくなると、細胞がダメージを受けます。
一般的に、体温が42℃以上になると、酸素供給量が酸素必要量に足りなくなると言われています。
ダメージを受ける臓器は、肝臓・腎臓・心臓・胃腸管・全身血管・脳・筋肉など、全身にわたります。
また、筋肉がダメージを受け、横紋筋融解が起きた場合、尿はオレンジ色のミオグロビン尿になります。
体温を下げることができてからも、多臓器不全によって生命の危険は続きます。
熱中症の治療としては、高体温の後遺症状として表れる「多臓器不全」をいかに抑えるか、ということがポイントになってきます。
そのため、しばしば入院しながら点滴をし、血液検査で体の状態をモニターすることが必要です。
特に、腎不全や電解質異常がしばしば起こりますので、要注意です。
人の熱中症患者では、体温調節が恒久的に異常な状態となることによって、将来夏ばてや熱中症になりやすくなると言われています。 |
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