ノミ




 羽の退化した昆虫類の寄生虫で、卵と幼虫、さなぎ、成虫に分かれ、寄生生活を送るのは成虫だけです。成虫は動物に寄生して1日に体重の15倍量の血を吸血します。大量の便は環境に落ち、幼虫の餌になります。
 ノミの吸血で貧血になることは少ないですが、ノミは感染したイヌネコに強い掻痒感と二次感染、
ノミアレルギーなどを引き起こします。猫ひっかき病・条虫などの媒介をすることも知られています。病原菌がノミの唾液を通じて動物の体にはいるほか、ノミの体内にある条虫の幼虫は




動物がノミを飲み込むことにより移ります。
 メスは1日に
20-28個の卵を産卵し、卵は環境中にばらまかれます。幼虫はカーペットや地面の上で主に成虫の出した糞を主食にしています。やがてさなぎを経て孵化した虫体は動物にとび移ります。5%の成虫に対して、卵・幼虫・さなぎは95%と言われています。
 成虫寿命は
6-12ヶ月です。冬は繁殖は鈍いですが、ノミは一年を通しています。部屋の中では一年中繁殖が可能です。
 動き回っているノミを見つければ確定診断ですが、床や体の上の黒い固まりを見つけたら濡れたティッシュでこすってみることにより調べることができます。
赤い色素が拡がったらノミの糞の証です。ノミのいる動物の背中には時に粟粒性皮膚炎が見られることがあります。ノミは活発に動き回り血を吸うため、動物はとても痒いです。
 人の血を吸って繁殖することはありませんが、間違って噛まれることは普通に起こります。繁殖は動物を通してですので動物を駆虫しておけば繁殖を押さえることができます。
 スポットタイプといわれる手軽に使えるものや即効性に優れるスプレータイプ、長期間使用可能な首輪タイプなどの駆虫薬があります。卵の孵化を押さえ、ノミのライフサイクルを遮断するタイプの薬もあります。
 詳しくは獣医師にご相談下さい。

すでにノミがいる動物の飼い主さんへ:
 ノミは毎日卵を産むので成虫がみられたときには通常部屋の中にノミの卵がたくさん落ちています。卵はやがて孵化し、成長してまた成虫になります。
フロントラインアドバンテージなどの駆虫薬を動物につけると、動物につく成虫は数時間以内に死亡しますが、残っている卵からかえった虫がまた動物にくっついてきます。動物病院以外で扱っているものはノックダウン効果といってノミを気絶させるものが主体です。ノミは死なず、しばらくするとまた復活してくることが多いです。最近はフィラリア予防とノミの駆虫を同時にできるお薬もあります。
 卵がたくさん落ちた環境中では駆虫薬をつけてもしばらくは成虫が見られることが多いです。成虫は卵を産むまでに死にますが、環境中に残った卵が無くなるまではしばらくかかります。