尿閉(排尿障害)



 尿閉とは尿路の異常により正常に尿排出が行えなくなった状態であり、大きく尿道の閉塞と膀胱の機能不全に分かれます。

 
尿道の閉塞
膀胱の機能不全
機械的閉塞
機能的閉塞
神経性
非神経性
尿道内結石
上位脊髄障害
仙髄部の障害
過度な膨張
壁内外の異常による圧迫
尿道筋の異常
自律神経障害
衰弱・薬物.etc
尿道痙縮


 尿閉の発生パターン、排尿の仕方、その前後に事故や泌尿器系の病気などなかったか、全身状態はどうかなどを調べます。尿検査や必要によりX線検査、超音波検査を行い、尿結石などがないかを除外します。

1.尿道の閉塞
 尿道内の結石があったときにはそちらの治療をします。
 尿道の機能的閉塞としては神経障害が多いと言われています。特に
第7腰椎よりも前の部分の脊髄が障害を受けると「膀胱に尿がたまったよ」という指令が脳に行かなくなり、尿道の平滑筋がいつまでも締め付けられて尿が出なくなります。膀胱を圧迫しても尿は出ず、過度に緊張し尿が少量ずつ“あふれ出る”尿失禁が見られます。尿道の排出路抵抗が異常に高くなるためチューブも通りにくくなっています。
 尿道筋の緊張を低下させるために内服薬を用い、原因疾患の治療も考慮します。

2.膀胱の機能不全
 いわゆる
膀胱アトニーと言われる状態で、膀胱の筋肉が働かず尿を自分で出せなくなっているものです。
 神経原性のものでは
椎間板ヘルニア、脊髄損傷、腫瘍などにより膀胱に分布する神経が圧迫/障害され働かなくなります。
 尿が膀胱内にたまっていきますが、上位脊髄障害のものと違い
尿道平滑筋の緊張はないため、膀胱が圧迫されると簡単に尿が排出されます。チューブを通すのは容易です。
 非神経性のものとしては
過度な膀胱の膨張が一般的な原因です。尿閉の状態が持続することにより膀胱の平滑筋線維がダメージを受けると、閉塞が解除された後も筋肉が収縮できなくなる状態になり排尿後も多量の尿が膀胱内に残るようになります。
 多量の残尿は平滑筋の回復を遅らせ細菌感染の要因となりますので、チューブによる排尿もしくは膀胱平滑筋の収縮を刺激する内服薬により残尿を減らす処置を行います。