横隔膜ヘルニア




 横隔膜に穴が空き、腹部臓器(腸管・肝臓・etc)が胸腔内に移動する病気です。最も多い原因は交通事故であり、激突の衝撃で横隔膜、特に筋肉の部分が裂けます。先天性にもともと持っている場合もあります。
 胸腔内に移動した腹部臓器により肺が圧迫されることにより、
急性の呼吸困難が起こります。虚脱状態になってぐったりすることも多いです。浅くて速い呼吸・頚を伸ばした呼吸・脇の下を拡げた姿勢は呼吸が苦しいことを示しています。
 診断はレントゲンや超音波で胸腔内に移動した臓器を確認することによります。場合によりバリウム造影をして胸腔内の腸管を確認することもあります。
 虚脱状態になっているときにはまず
状態を安定させる必要があります。輸液ケージレストにより落ち着いたら手術をして腹部臓器を腹腔に戻すための手術をします。打撲による全身のダメージを伴っていることが多く、横隔膜ヘルニアの致死率は12-40%といわれています。胸腔内に移動した臓器により持続的な肺の圧迫により呼吸が妨げられるため、安定した時点でできるだけ早期に手術をしてあげることが推奨されています。手術をして安定した場合には生存率は75%とされています。
 もし、放っておいて慢性化してしまった場合には呼吸の障害が残ってしまいます。安静時でもがんばらないと呼吸できず、運動や興奮によって酸素消費量が高くなると耐えられなくなり倒れてしまいます。慢性化してしまった場合には外出を制限し、運動や興奮をしないような生活をさせてあげる必要があります。