犬の食餌




●栄養バランスがとれたドッグフードを与えましょう
 犬は
雑食性動物として進化してきた動物です。猫は完全肉食動物ですが、犬は肉以外に穀物や野菜などいろんなものから栄養をとることができます。ですが犬にとって必要な栄養バランスは、人間とは異なります(人よりも塩分の必要量が20分の1です)。人のゴハンは原則としていけません。昔は人間の食事の残り物をゴハンにかけてあげることも多かったのですが、これは腎不全の発生率を高め、寿命を短くします。現在ではドッグフードの質も以前とは比べものにならないほど進歩しており、通常の健康犬であればドライのドッグフードと水を主食にするのが一番おすすめできます。ジャーキーは脂肪と塩分がどうしても多いので、おやつ程度にしておいてください。

●最初はミルク、そして離乳食へ
 生後4週目くらいまでは基本的に母乳だけで十分です。特に生後24時間以内の母乳は初乳といい、感染症への抵抗力を付ける上でとても重要なものです。母犬がいない場合は、子犬用のミルクを与えましょう。体重の増加具合をみて、必要に応じて強制給餌が必要になることもあります。
離乳期は
4-6週です。生後5週目になったら離乳食として、ドライフードを水でふやかし、4時間置きぐらいに与えます。離乳用のドッグフードの缶詰を利用するのもいいでしょう。離乳期になってくると、子犬の乳頭分解能は低くなってくるため牛乳中の乳糖によって下痢を起こすことが多いです。牛乳は与えないでください。

●幼犬用のドッグフードに移行
 生後2カ月になったら、消化の良い高カロリーの食事を1日3〜4回あげましょう。幼犬用のドッグフードが便利です。幼犬の体重あたりのカロリー必要量は成犬の2-3倍ですが、1回あたりの量を多くすると、消化管の負担が大きいので、その代わりに回数を増やして与えます。乳歯が生えてくると、母犬は乳首を咬まれると痛いので授乳させないようになります。
生後
5カ月くらいになったら食事の回数は1日2〜3回に減らしていってください。その後もずっと1日2食に分けた方がいいです。1日1食では消化管への負担が増えてしまいます。

●妊娠・授乳中の母犬には多めに

妊娠期後半・授乳中の母犬には通常の成犬の1.5〜2倍の量の食事を3〜4回にわけて与えましょう。胎児が体重増加がはっきりしてくるのは妊娠後半(
妊娠5週令以降)なので、妊娠期前半は通常量でかまいません。子犬用、妊娠・授乳中の母犬用のフードも市販されています。老犬には硬いもの、消化の良くないものは避けましょう。老犬用のフードもいろいろ売られています。いずれの場合も、きれいな水をたっぷり添えてあげましょう。

●カルシウムの添加はしないで!
 ドッグフードには充分量のカルシウムが入っています。添加は必要ないばかりでなく有害です。
胃腸障害、胃拡張/胃捻転などの他、特に成長期の犬で関節の発育障害、骨軟骨症、股関節形成不全などの病気の問題を引き起こすことが知られています。特に大型犬での若い時期の急激な体重増加は関節への負担を増加させるので、大型犬用のパピーフードはカルシウム含量とカロリーを減らしたものになっています。

● ネギ中毒
 タマネギ・ネギ・ニンニク・ニラをイヌネコに食べさせると溶血性貧血を起こすことがあります。すき焼きの煮汁などにもその成分は入っていますので、与えないように気をつけましょう。

●その他の中毒

 普段何気なく使っているものにも犬が食べると有害な物質がたくさんあります。犬が間違って口にすることはよくありますので、必要のないところに必要のないものは置いておかないようにして下さい。
 
チョコレート、石油製品、松ヤニ、ペンキ・パテ・ニス・ワックス・ラッカー、各種洗浄剤、人間のローション、整髪剤、爪の手入れ剤、凍結防止剤、保冷剤、脱臭剤、錆防止剤、靴墨・クリーナー、インク、ニカワ、硼酸だんご・ナメクジの殺虫剤・除虫剤・殺鼠剤、鉛・水銀電池、農薬 etc・・。

●なにか食べたかなと思ったら
 パッケージを確認して薬剤の種類と食べた量を確認してください。
酸・アルカリ・メタアルデヒド・フェノール(タール類)を食べたときには牛乳を飲ませてもいいですが、防虫剤(パラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのう)・石油を食べたときには牛乳を飲ませると吸収を助長しますので禁忌です。一般のシリカゲルはほぼ無害です。
 薬剤名が分からないときは中毒110番の番号は
0990−50−2499 (ダイヤルQ2:通話料と情報料が必要(1件300円))です。食べたもののパッケージがある場合にはメーカーに問い合わせても良いでしょう。
 何を食べたか分からない場合には吐かした方がいい場合も多いですので病院にお電話下さい。
 その他、靴下、手袋、ビデオテープ、スーパーボールなどを食べると、おなかをあけないといけなくなる場合もありますのでご注意下さい。犬は異食に限っては懲りたりしない動物です。