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心臓の仕事は荷物を担いで坂道を歩いていくことに似ています。心臓が悪いときの状態は荷物の耐え難い重さと坂の勾配に心臓が悲鳴を上げていると言うことです。
左の図を体に置き換えれば、荷物とは全身に送る荷物=血液量、勾配は送り出す先の抵抗=血圧、運んでいる人は心臓自体です。
心臓の薬は左の人に対して
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1.荷物を軽くしてあげる=血液量を減らす、静脈圧を下げる
2.坂道の勾配を緩くしてあげる=動脈圧を下げる
3.ムチを打ってもっとがんばらせる=心筋をより収縮させる
のいずれかをするものです。心臓をがんばらせてムチを打つだけでは早く心臓がへたばってしまいます。がんばらせるだけでなく、楽に仕事をさせてあげるために多剤を併用して治療します。心臓の薬は大変デリケートですので、用法・用量をしっかり守ってずっと続けることが必要です。特に急に止めると命取りになります。
ACE阻害薬:
血液量を低下させると共に動脈圧・静脈圧を穏やかに下げます。最大の利点は心臓の肥大と変性を遅らせることです。心臓雑音が聞かれ症状がでていないという時から使用することで心不全の発生時期と進行を遅らせることが出来ます。
心疾患の初期から使う薬です。
副作用は少ないですが、BUNが上昇することがあります。
動脈血管拡張剤:
動脈側の血管を広げて心臓から血液を送りやすくします。
心房の拡大が認められた時点(=静脈圧の上昇)から使用します。心房の拡大は「動脈側に血液を送りたいけど心臓がついていけなくて心房側に送れない血液がたまっている」ということを示しています。さらに僧帽弁疾患では逆流により心房拡大が起こりやすくなります。放置しておくと肺にも水がたまっていき肺水腫となります。動脈側に血液が流れやすくなれば逆流量も減少することが期待できます。
副作用としてはまれですが血圧低下によるめまい、失神などが起こることがあります。
利尿剤:
血液量を低下させると共に肺水腫を軽減します。
肺水腫時に使用します。
副作用としては脱水によるBUN上昇、血液電解質の異常などが起こることがあります。
強心剤:
心拍数を遅くさせると共に、心臓をがんばって動かさせます。強心作用よりも心拍数を下げる目的で使用することが多いです。
頻脈という不整脈時に使用します。
副作用は不整脈や下痢・吐き気、食欲低下などです。
冠血流改善剤:
心臓に行く血の流れをよくし、心臓の不整脈を減らします。
心疾患時に補助的な使用をします。
副作用は少ないですが、出血傾向が報告されています。
気管拡張薬:
心臓が肥大すると気管が圧迫され呼吸が苦しくされます。血管拡張剤を使用しても咳がひかない場合に追加で使用します。緩やかな強心作用もあります。
副作用は少ないですが、消化管出血や肝障害が報告されています。
βブロッカー/カルシウムブロッカー:
心筋の過剰な運動と酸素必要量を抑え、心臓を楽にします。
肥大型心筋症や頻脈などで使用します。
副作用は徐脈と心筋収縮力低下です。僧帽弁閉鎖不全など、うっ血性心不全になる病気では原則使用しません。
心臓は取り替えることもできず、いったん悪くなると良くなることはありません。薬物療法が目指しているのは、病気の完治ではなく「悪いながらも落ち着いている状態」です。薬を飲んでいるときに急に止めたりすると、症状の急転、突然死といった可能性もあります。くれぐれも用法・用量を守って飲ませてあげてください。
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