有機リン中毒




 マラチオン、パラチオンなどの農薬に含まれる成分です。

 副交感神経の刺激がシナプス(神経と神経のつなぎ目)に到達すると、神経末端からは
アセチルコリンという神経物質が放出され、神経興奮が伝達されます。
 シナプス間に放出されたアセチルコリンは
アセチルコリンエステラーゼという酵素で分解され、神経が興奮しすぎないように調節されています。

 有機リンは
アセチルコリンエステラーゼを阻害するため、神経が異常に興奮してしまうことになります。
 異常興奮はいくつかの神経系で起こるため、様々な症状が起こります。

ムスカリン作用流涎、流涙、排尿・便、呼吸困難、嘔吐、徐脈、縮瞳
ニコチン作用筋線維束性攣縮、衰弱・麻痺
中枢神経系痙攣、運動失調、不安、呼吸不全、死

 発見後すぐの場合には
吐かせます。また、大量に摂取した場合には胃洗浄を考慮します。
 アセチルコリンの働きを抑えるために、副交感神経遮断薬である
アトロピンの注射を行います。
 その他、臨床症状に対しての
補助療法が必要になることもあります。

 農薬がまかれた草を食べた後、よだれを垂らしてふらふらしているということから気づく場合が多いため、草を食べさせない習慣を付けておいた方が良いでしょう。