前十字靱帯断裂




 前十字靱帯は大腿骨と下腿骨の間にある靱帯で、膝の関節がぐらぐらしないように固定しています。それが断裂すると、強い痛みとともに跛行を起こします。また痛みが引いてからも膝がぐらぐらして歩行に障害をきたします。
 
運動中に突然後肢の跛行を起こすのが特徴で、足は通常下に全くつけません。靱帯時の強度は年齢とともに低下するので、中高齢で発症が多いです。また肥満は素因となります。


 診断は触診でみます。完全断裂の時にはドローアーサイン(膝のぐらぐら)が見られます。ただし、部分断裂の時や慢性経過で周囲の線維化がおきている場合、極度に犬が力んでいる場合には分からないことがあります。また部分断裂時には通常1年以内に完全断裂に移行するといわれています。
 治療は外科的に靱帯の代わりを作ることにより行います。通常自己大腿筋膜やナイロン糸を用いて行います。手術しない場合は周囲の線維化により跛行は徐々に無くなっていきますが、時折の跛行と関節炎を繰り返します。また関節はぐらぐらしているのでもう一方の足に負担がかかり、靱帯が弱ってくると残った方も断裂します。
 手術をしても肥満などで関節・靱帯に負担がかかり続けると、もう一方の足や代替靱帯が断裂してしまいます。代替靱帯の強度は元の靱帯の約70%といわれています。無理な運動は避けるようにして、まずやせさせてください。