副腎疾患


 フェレットにおいて多発する病気です。
 副腎においてのホルモン産生のバランスが崩れることによって、様々な症状が見られます。
 一番目立つ症状は、
皮膚の脱毛です。頭と四肢以外の全身において脱毛が見られます。冬から春にかけて脱毛が進行し、秋になると少し発毛が見られることが多いようです。
 メスにおいては、
陰部の腫脹が見られることがあり、また、一部の個体においては、皮膚のかゆみが見られます。
 その他、排尿困難(オス)、攻撃性の上昇、瀕回のマーキング、体重減少、後躯の不全麻痺、貧血などの症状を見ることもあります。
 高齢のフェレットでは、しばしば
インスリノーマ脾腫を併発することがあります。

 原因は、遺伝性のものと、未熟時の性腺摘出が原因と考えられています。
 副腎は、コルチゾルというステロイドホルモンを生産しているところですが、遺伝的な欠陥や未熟段階の性腺により、コルチゾルの前駆物質からコルチゾルへの変換がうまくいかなくなることがあります。
 そのことにより、ホルモン産生のバランスが悪くなり、体内で前駆物質が増加することになります。

 犬猫の「副腎皮質機能亢進症」は、コルチゾルの分泌が過剰になることによって起こる病気ですので、コルチゾルの分泌を調べることによって、病気を診断することが可能です。
 一方、フェレットの副腎疾患は、
コルチゾルの分泌が増える病気ではないため、犬猫よりも診断が難しい部分があります。

 診断方法としては、超音波検査での
副腎の拡大をまず調べます。正常の大きさは2〜4mmです。正常では小さな臓器であるため、確認しづらいのが通常です。左側の副腎の方が、右側に比べ、罹患が多いと報告されています。
 血液検査では、ホルモンの血中濃度を調べます。犬猫と違い、コルチゾルではなく、
アンドロステンジオン、17-αヒドロキシプロゲステロン、エストラジオールという、前駆物質の値を調べ、値が上昇していれば、本症であると診断します。欠点は、検査の価格が高価(約3万円)であることです。

 治療は、
開腹して外科的に、副腎を摘出することによります。左側の副腎は大静脈から離れて存在しているため全摘出が可能なのですが、右側の副腎は大静脈・肝臓と接して存在しているため、全摘出は困難です。
 片側の罹患だった場合は予後は良好と考えられますが、両側の罹患で全摘出となった場合は、術後しばらく、ステロイドホルモンの内服投与が必要になる場合もあります。
 
犬猫で用いる内服薬は無効とされているため、外科摘出術が第一、かつ唯一の治療法となります。

 病気が進行すると、しだいにやせていき、全身状態が悪くなっていくことが予想されますので、麻酔において犬猫よりも麻酔リスクはあるにせよ、治療を行うことを考慮した方が良いと考えられます。