歯の不正咬合


 ウサギの歯が、噛み合わせが悪くなって伸びすぎる病気です。前歯が伸びすぎる場合と、奥歯が伸びすぎる場合があります。

 ウサギの歯は生涯を通じて伸びます。伸びた歯は食物を噛むときにこすれあって摩耗し、適切な長さで保たれるようになっています。


 わらが少なかったり、食物繊維が少ないと歯の摩耗が少なくなります。また顔から落ちたりケージをかじったりして歯根がダメージを受けたりしても、歯の角度が悪くなり摩耗できなくなってしまいます。

 前歯が伸びすぎた場合は、伸びた歯が食餌のときに邪魔になりますので、食餌をしにくくなってしまいます。
 奥歯が伸びた場合は、口の痛みを引き起こし、「食欲はあるけれども痛くて食餌をできない」ということになってしまいます。奥歯の不正咬合の時は、上の歯は外方向に伸びて頬を傷つけ、下の歯は内側に伸びて舌を傷つけてしまいます。

 診断は視診にて行いますが、奥の歯だと麻酔をかけて口を開けないと分からない場合があります。傷があるときには、口の中をのぞくと出血や泡が見られる事が多い他、前足で口元をこするために、前足の内側が唾液で固まっている事も多いです。
 
 一旦噛み合わせが悪くなった場合は、元通りには戻りませんので、定期的に伸びている部分をトリミングしないといけなくなってしまう事が多いです。
 前歯のトリミングであれば無処置で可能ですが、奥歯の場合は、通常麻酔をかけて処置を行います。

 この病気は予防が一番大切です。ペレットばかりでなく、わらや野菜などをたくさんあげることが重要です。ペレットは高栄養ですが低繊維ですので、食餌量全体の30%以下にすることが勧められています。かじり木は悪くはないですが、効果は不明です。