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捻転斜頸とは、ウサギの首がねじれた状態になり、姿勢の制御がうまくできなくなる病気です。
症状の発生は急なことが多く、首がねじれる以外に、姿勢を保てずによろけたり、ぐるぐるとローリングしてしまうこともあります。
特に眼振がおきているときには、本人は眼が回っている状態となっています。
前庭という、体のバランスをコントロールする部分に障害が起こることによって発症しますが、原因により、末梢性の場合と中枢性の場合とがあります。
中枢性の原因としては、エンセファリトゾーン(Ez)という微胞子虫の感染が多いとされています。
Ezは、脳、腎臓、眼に肉芽腫性病変を形成する病原体で、国内での陽性率は6割を超えると報告されています。
臨床症状は非特異的であることが多く、陽性でも症状を示さない(不顕性)個体も多いです。
大脳、小脳に肉芽腫性髄膜脳炎を起こすと神経症状を起こします。
髄膜脳炎を反映して、運動失調や意識レベルの低下、ローリングやてんかんなど、他の症状もしばしば伴います。
末梢性の原因としては、中耳炎や内耳炎などが多いです。
原因菌としてはパスツレラ菌の感染が多いとされており、外耳炎や口腔疾患、呼吸器感染症が基礎疾患として隠れていることがあります。
診断は、外耳の視診、症状とレントゲン、血液検査によるEzへの抗体価測定などによります。
中耳炎や内耳炎が進行していると、レントゲン所見において、骨や鼓室内部の変性が進行している場合もありますが、初期であればまだレントゲン所見が伴って来ていない可能性もあります。
抗体価は外部委託検査によって行うものですが、IgGという、過去の感染を検査する検査ですので、過去に感染していて無症状の場合も陽性となる場合があります。ただ、抗体価が高度に上昇(320倍以上)していて、症状も伴っている場合はEz症である可能性が高くなります。
治療は、抗生物質、Ezの駆除剤、ステロイドが中心になります。
細菌性(特にパスツレラ菌)の中耳炎、内耳炎が多いため、抗生物質は必須です。
抗生物質ではEzには効きませんので、中枢性の原因を疑う場合にはフェンベンダゾールという、Ezの駆除剤を用います。
ステロイドも、神経症状が強いときには初期の間だけ用いますが、感染症のときに長期間用いると免疫力を下げる可能性がありますので、極力短期間だけにしておいた方が良いとされています。
また、めまいがしていますので、本人は気持ちの悪い状態であることが予測されます。食欲が低下する可能性がありますので、そのときには補液などの補助治療もしてあげる必要があるかもしれません。
予後に関しては、予測のしにくい部分があります。
急性の症状で、治療に速やかに反応してくれれば予後が良い場合も多いです。
ただ、神経症状が強く出ていたり、捻転斜頸が強い場合は、首が曲がった状態が続いたりと、後遺症状が残る可能性があります。
後遺症状が残り、首が曲がった状態になっても、本人の平衡感覚が戻ってくれば、生活上は支障がないようになることが多いです。
慢性化すると後遺症状が残る可能性が高くなりますので、初期の段階で集中的な治療をすることが大切な病気です。
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