ウサギの食欲不振



 ウサギでは、しばしば食欲不振が見られることがあります。
 原因は様々ですが、多いのは以下のものです。

1.特発性食欲不振
2.口の中の痛み
3.毛球症などによる腸閉塞
4.それ以外の病気

 中でも多いのは、ストレスや何らかの原因によって起こる特発性食欲不振というものです。特発性というのは原因が分からない場合に付けられる名称ですが、ウサギはちょっとした環境の変化を敏感に感じ取り、食欲が急にぱたっとなくなってしまうことがあります。

 口の中の痛みもしばしばある原因であす。ウサギでは不正咬合という、歯の噛み合わせが悪くなって、歯が伸びすぎる病気があるのですが、伸びた奥歯が舌や頬の粘膜を傷つけたりすると、ご飯を食べたいんだけれども痛くて食べられない、ということになります。
 ウサギは口が痛いと歯ぎしりをしたり、前足で口をこすって前足の内側ががびがびになったりする事が多いです。そういうことがある場合は口に痛みがあるシグナルです。
 診断は口の中をのぞいて、伸びている歯や出血などを確認することによって行います。手前の奥歯が伸びている場合は無麻酔で覗いて発見できることもあるのですが、奥の奥歯が伸びている場合は、麻酔をかけて口を開けなければ分からないこともあります。
 治療は伸びている歯を削って、歯が舌や粘膜にあたらないようにします。通常処置には麻酔が必要となります。

 腸閉塞は主に飲み込んだ毛が腸の中で通過障害を起こす事で起こります。
 触診で疑わしい胃内容物を触知したり、レントゲンで毛玉やガス像を確認する事で行います。中には完全閉塞とまでは行っていないけれども、通過障害を起こしている不完全閉塞の状態のこともあります。
 通過障害を起こしているくらいであれば内服薬に反応する可能性がありますが、完全閉塞を起こしてしまっている場合は、外科的に手術を行う必要があります。

 その他、肝臓や腎臓病、感染や腫瘍など、他の病気がないかどうかを調べ、鑑別診断して行きます。
 食欲不振の基となる病気が発見された場合は、そちらの治療を行うことになります。

 他の可能性を調べて行き、他に原因が見つからなかったら、特発性食欲不振との暫定診断を行い、治療して行くことになります。
 ウサギは、食物繊維が腸の中に入ってくることによって腸の蠕動運動が刺激されるという特殊な体の構造をしているのですが、食欲が低下すると食物繊維が腸の中に入ってこないことになり、悪循環となります。
 したがって、まず腸の運動を刺激する薬を用い、腸を動かすとともに食欲が出るように刺激します。腸の中にガスがたまっていそうなときには、ガスを減らす薬も併用します。食物繊維が入ってくる事で腸が動きますので、野菜やわらなどで食べられるものをちょっとずつでも食べさせてあげる事が必要です。
 環境的なストレスが原因と考えられるときには、ストレスを軽減させてあげられるように環境の見直しをする事も必要です。