ハムスターの飼い方




ハムスターの特徴
 ハムスターがペットとして飼われるようになったのは犬や猫などと比べるとごく最近です。1930年に西アジアのシリアでゴールデンハムスターが捕らえられ、その子孫が実験動物として世界中で飼われるようになりました。やがてその可愛さがペットとしても人気を呼ぶようになり、現在では多くの種類が一般家庭で飼われています。
 体重はゴールデンで100〜150gジャンガリアンで25〜40gです。寿命は
2-3年です。
 ハムスターの原産地は中国〜シベリアの、乾燥した涼しい場所です。野生のハムスターは、寒さを防ぐために地中に長いトンネルを掘って住んでいます。
夜行性の動物で、昼間は巣穴の中で眠り、夜になると巣から出て餌を探しに出掛けていきます。
 また、食料を貯蔵する性質があります。頬袋に食料を入れて巣の中に運び入れるので、気が付かないうちにケージの中に大量のエサを貯め込んでいたということもよくあります。

フード
 ハムスターは
草食性に近い雑食性の動物です。食べ物の基本はペレット、野菜・草類・種子類であり、おやつとして時々動物性タンパク質を与えます。
 野菜で与えても良いのは
ニンジン、ブロッコリー、パセリ、カブの葉、チンゲンサイ、大根葉、小松菜、サラダ菜、セロリ、ミツバ、カリフラワー等です。
 良くない野菜は
ジャガイモの芽と皮、生の豆、ネギ類です。またレタス・キャベツ・キュウリは体に悪くはないですが栄養価は低いです。
 野草で与えても良いのは
タンポポ、ノコギリソウ、ヒレハリソウ、ハコベ、クローバー、フキタンポポ、ペンペングサ、アルファルファ、オーチャードグラス、イタリアングラスなどです。
 良くない野草は
アサガオ、アジサイ、アマリリス、イチイ、イラクサ、イヌホウ好き、漆、オシロイバナ、オトギリソウ、カジュマル、カポック、カラジュール、キョウチクトウ、クリスマスローズ、ケシ、ゴムノキ、サツキ、サトイモ、サフランモドキ、ジギタリス、シダ、シャクナゲ、ショウブ、ジンチョウゲ、スイセン、スズラン、西洋ヒイラギ、セントポーリア、チョウセンアサガオ、ツツジ、ツゲ、ディフェンバギア、デルフィニウム、ドクゼリ、ドクニンジン、トチノキ、トリカブト、ナツメグ、ヒヤシンス、ベゴニア、ベンジャミン、ホオズキ、ポインセチア、マロニエ、ヨモギギク、ワラビ等です。
 果物で与えても良いのは
リンゴ、メロン、ブドウ、イチゴ、バナナ、パイナップル等です。アボガドは止めておきましょう。
 よくひまわりの種を主食にしている人がいますがそれは間違いであり、
高脂肪の種子の多食は肥満・肝不全につながり、寿命を短くします。良い種子は低脂肪の種子であり、ヒエ、アワ、キビ、カナリーシード、アサノミ、大豆、落花生、エン麦、大麦、小麦、ふすまなどです。いずれも脂肪の含有量は1%以下です。ひまわりの種は脂肪が56.4%、クルミは68.7%なので多食は好ましくありません。
 ペレットは草食動物用で良いです。含有タンパク質量は16%以上のものが推奨されています。
 タンパク質として時折
ゆで卵、ドッグ/キャットフード、低塩煮干し、チーズ、ヨーグルト、虫などを適量あげましょう。タンパク質欠乏により脱毛を起こすことがあります。
 水の容器はボトルタイプのものがベストです。 

ケージ
 金網タイプよりも水槽タイプの方がおすすめです。金網の部分に足を挟んでひっくり返り、脚を骨折したり痛める事故が頻発します。ハムスターは地上/地下生活を送るため2階建てにする必要はありません。落下による事故の確率が高くなります。どうしても金網タイプを使う場合には下に塩ビ板を貼るなど、登れないように工夫しましょう。水槽タイプの欠点にはむれることがありますので注意してください。穴に潜り込むのは好きなため、トンネルなどを用意してあげるのも良いでしょう。
 理想温度は20-24℃、理想湿度は45-55%です。
5度以下になると疑似冬眠に入るので特に冬場は気をつけなくてはなりません。9℃以下でも起こる可能性があるので、注意しましょう。部屋の中で飼っている限り、冬眠させる必要はありません。自然状態では秋にたくさん食べ、皮下脂肪を付けて冬ごもりの準備をしますが、部屋で飼っていて急に寒くなったときには準備のない段階で疑似冬眠に入るため命を落とす可能性が高くなります。
 高温多湿は苦手であり、夏場の室内などでは容易に熱がこもって熱中症となります。
 寝床や遊び場として巣材をケージの底に敷きますが、
木くずは皮膚を刺激して皮膚炎を起こしたり、眼に入って結膜炎を起こすことが多いのでおすすめできません。特にパインチップ(杉くず)はアレルギーを起こすことが多いので避けてください。ちぎった紙やわらの方が無難です。冬は多めに入れてください。
 自然状態では一晩の間におよそ
10-20km走るとも言われています。運動不足解消のために回し車を入れてください。回しているときによく踏み外すコは脚を痛めることもありますので、ボール紙で踏み外し防止のカバーをするなどの工夫が必要です。

生活上の注意点
 ハムスターは単独生活を行っており、複
数飼いをすると殺し合うまでケンカをすることもあります。けがを防ぐため、原則として一頭ずつ別々に飼うようにしましょう。
 爪が伸びすぎているとケージ内で引っ掛けてケガをすることがあります。伸びすぎた爪は切ります。光に透かすと血管が見えます。その1〜2mm手前で切ります。
 ハムスターの前歯は一生伸び続けます。自然状態ではものをかじることにより自然に摩耗しています。かじり木などを与えることも良いでしょう。もしのびすぎた場合には定期的に切ってあげるなどの処置が必要になります。
 かわいいハムスターとはいえ、キスをしたり口移しでものを与えたりすることは止めましょう。ハムスターの持つ寄生虫の中には人畜共通のものもあります。
 部屋で遊ばせるときには時間を決め、人がよく見張っていましょう。隙間に挟まれたり人に踏まれたりドアに挟まれたり、人間との生活は危険がいっぱいです。