ウサギの飼い方




ウサギの特徴
 一般的にペットとして飼われているウサギ(カイウサギ)は野生の「アナウサギ」を改良したものです。ウサギを家畜として飼うようになったのは約2000年前からです。日本では、かつて日本白色種と呼ばれる白いウサギが主に飼われていましたが、現在ではさまざまな種類のウサギが親しまれています。
 アナウサギは、ワラントと呼ばれる地下に長いトンネルを掘って集団で暮らしています。ノウサギと異なり、行動範囲はそれほど広くありません。元来夜行性動物で、夜中に食べて夜中に排泄します。一番活動的な時間帯は明け方と日暮れ前です。一般的な寿命は
8〜10年です。

フード
 ウサギは
完全草食性の動物です。基本はペレット、野菜・草類、果物です。粗飼料をたくさんあげないと消化器の病気になりやすい動物ですので気をつけましょう。1日の餌を2回か3回くらいに分けて与えるようにしてください。
 ウサギは子どもの頃に好き嫌いができると大きくなってからも続く場合が多いです。子ウサギの頃から、野菜や牧草、フードなど与えるようにしましょう。
 ペレットはウサギにとってはおいしく、高カロリーの食餌ですが、こればかりだと歯の摩耗が足りず、歯が伸びすぎてしまう(
不正咬合・過長歯)となったり、食物繊維が足りないために胃内に毛がたまる毛球症やその他の消化器疾患の原因となります。またアルファルファのペレット、干し草を大人になってからも中心に与えていると蛋白、カルシウムの取りすぎによって膀胱内のカルシウム結石、肥満などの病気を起こす事がありますので、成長期が終わったらチモシー中心の食餌の方が好ましいでしょう。ウサギは食餌のカルシウム含量が多いとそれに比例して吸収し尿内にカルシウムを排出するため、他の動物よりも結石ができやすくなっています。
 おすすめされているペレットの組成は以下の通りです。
   成長期:蛋白16-18%、脂肪3-6%、繊維12-16%
   維持期:蛋白12-15%、脂肪2-4%、繊維16-22%
   妊娠・授乳期には蛋白が15-20%含まれているものが良いでしょう。
 干し草は歯の伸び過ぎ防止によく、食物繊維が豊富なのでたくさんあげて下さい。
 ウサギは、野生時には、野にある木や牧草などを食べていたので、歯も自然に磨耗され伸びすぎることはほとんどありません。ペットとなって室内で暮らすようになって、食生活の変化から過長歯のウサギが多く見られるようになりました。過長歯を防ぐためにも栄養的にも牧草や干し草は与えるようにしましょう。牧草や干草も好き嫌いがあるので、いろいろな物をあきらめずに試してみてください。
 野菜で与えても良いのは
ニンジン、ブロッコリー、パセリ、カブの葉、チンゲンサイ、大根葉、小松菜、サラダ菜、セロリ、ミツバ、カリフラワー等です。
 良くない野菜は
ジャガイモの芽と皮、生の豆、ネギ類です。またレタス・キャベツ・キュウリは体に悪くはないですが栄養価は低いです。
 野草で与えても良いのは
タンポポ、ノコギリソウ、ヒレハリソウ、ハコベ、クローバー、フキタンポポ、ペンペングサ、アルファルファ、オーチャードグラス、イタリアングラスなどです。
 良くない野草は
アサガオ、アジサイ、アマリリス、イチイ、イラクサ、イヌホウ好き、漆、オシロイバナ、オトギリソウ、カジュマル、カポック、カラジュール、キョウチクトウ、クリスマスローズ、ケシ、ゴムノキ、サツキ、サトイモ、サフランモドキ、ジギタリス、シダ、シャクナゲ、ショウブ、ジンチョウゲ、スイセン、スズラン、西洋ヒイラギ、セントポーリア、チョウセンアサガオ、ツツジ、ツゲ、ディフェンバギア、デルフィニウム、ドクゼリ、ドクニンジン、トチノキ、トリカブト、ナツメグ、ヒヤシンス、ベゴニア、ベンジャミン、ホオズキ、ポインセチア、マロニエ、ヨモギギク、ワラビ等です。
 果物で与えても良いのは
リンゴ、メロン、ブドウ、イチゴ、バナナ、パイナップル等です。アボガドは止めておきましょう。
与えても良い種子類は
大豆、落花生、エン麦、大麦、小麦、ふすま等ですが、絶対必要ではありません。おやつ程度にしておきましょう。
 水は新鮮なものをいつでも飲めるようにしてあげましょう。ウサギが水を飲むと死ぬという俗説はウソです。ただし野菜をたくさん食べていると水分は野菜から摂取しているので、水の量は減ります。容器はボトルタイプのものがベストです。

ケージ
 最低限でもウサギが身体を十分に伸ばせる大きさのものが必要です。床がスノコや網になっていると、掃除もしやすく衛生的です。足の裏が汚れると感染症を起こしやすくなりますので注意しましょう。また、サークルタイプのものや外に置く小屋タイプのものもあります。金網をかじる癖を持っているコもいますが、歯の歯根部分を痛め、不正咬合の原因になりますので、かじる場合にはかじれないようにアクリル板で覆うなどの工夫をしましょう。
 飼育の理想温度は18.3-23.9℃、湿度は30-50%です。ウサギは急激な温度変化やすきま風にも弱いので、できるだけ穏やかな温度環境で育ててあげましょう。また、ウサギは
高温多湿の環境には弱いです。特に夏場に閉め切った部屋にいると短時間で熱中症に陥ってしまうことがあります。
 トイレはウサギ専用のものもありますが、猫用でも代用できます。ペットシーツや猫用の砂を底に敷くと掃除が楽です。コーナーに置くようにしましょう。起こってしつけようとしても無理なので、しそうになったらそこに連れて行くようにし、根気よく教えましょう。一旦場所を覚えるとそこでするようになります。また尿の結晶はアルカリ性なので、尿の白い跡は
酢で拭くととれやすいです。

健康面
 仔ウサギでは腸内細菌叢の乱れや
コクシジウム・蟯虫などの寄生虫から下痢を起こしやすいので注意しましょう。仔ウサギでは一度検便をしておきましょう。またウサギではストレスによって腸内細菌叢の乱れが起こりやすく腸管毒血症を引き起こして命に関わることがあります。
 ウサギの尿は健康な時でも
ポルフィリンという色素のために茶色っぽい色をしていますが、尿に血が混じっていたり、尿をするときに痛がる場合は膀胱炎や尿結石などの可性があります。
 食欲不振の場合はわらが少ないことにより歯がのびすぎる
不正咬合、おなかの中に毛がたまる毛球症、その他の病気などいろいろな原因が考えられますが、食欲不振が続くと体力が低下して悪循環となります。特にウサギでは食物繊維が腸に入ってくることにより腸の蠕動運動が促されるという特殊な構造になっているため、食欲不振の時には食物繊維を食べさせる必要があります。まず病気でないか見ないといけないため、病院にご来院下さい。
 爪が伸びすぎているとケージに引っ掛けてケガをすることもあります。爪は時々切ってあげましょう。光に透かすと血管が見えるので、その2〜3mm手前で切ります。
 ウサギの毛は春に夏毛に、秋に冬毛にそれぞれ抜け替わります。なめ取っていることが多いので毛球症に注意しましょう。通常は毛が胃内にあっても便とともに流れていきますが、食物繊維が少ないと流れていかず、腸に詰まって命に関わります。長毛腫ではブラッシングをいやがらずにできるように慣らしておきましょう。メスの方がのど袋(デュラップ)の分の毛がありますので毛がよく抜けます。メスは繁殖時、のど袋の毛を抜いて巣作りを行います。胃のpHは強酸性(1-2)であり、酵素を壊してしまうので、パパイヤ酵素はあまり効果が期待できません。またネコ用の毛球除去剤は油分が多いのでウサギには不向きです。
 ウサギはものをかじるのが好きであり、部屋のコーナーをかじったり、それを飲み込んで
腸閉塞・中毒を起こすこともあります。またコードをかじって感電することもありますので、部屋で放し飼いにせず、部屋で遊ばせるときにはよく注意してあげましょう。