鉄貯蔵病




 鳥の体の中に鉄が蓄積され、鉄の毒性によって障害が起こる病気です。

 九官鳥やオオハシ、ヒインコに起こりやすい病気で、これらの鳥では体の中に鉄を効率よく取り込むように体ができています。
 自然状態では鉄などのミネラルが少ないため都合がいいのですが(自然状態では発病が見られません)、飼育されている鳥においては、食餌中の鉄が相対的に多いために貯蔵過剰となってしまいます。
 体内に過剰に蓄積された鉄は、フリーラジカルを発生させ、細胞を障害します。臨床症状は、主に肝障害と関連しています。

 オオハシでは突然死や、急な全身状態悪化の後の死が見られます。
 九官鳥ではオオハシよりも症状はゆっくりであり、数日から数ヶ月かけて状態が悪化して行きます。肝肥大と腹水から、呼吸困難、咳、くしゃみ、声の変化などの呼吸器症状が見られる他、元気・食欲の低下、体重減少、嘔吐、下痢などの症状も見られます。
 たまっていた腹水が気嚢に入り込むと、急激に呼吸困難が進行し、急死する可能性があります。

 腹水などの臨床症状や、血液検査により診断を行います。確定診断のためには、肝臓の組織検査が必要ですが、生前診断は困難です。

 治療法としては、瀉血、鉄キレート剤や強肝剤、利尿剤の内服、腹水の穿刺などを考慮します。

 発病しないよう、予防が重要な病気です。予防には、鉄分の濃度を制限されている食餌が推奨されています。推奨鉄分濃度は、100ppm以下(ヒインコは25ppm以下)です。
 ビタミンCは鉄分の吸収を高める可能性がありますので、柑橘類などの給餌は制限すべきと考えられています。