「人でなし」に生きる権利は必要か
人はみな、「
精一杯生きていたい
」という思いや「
愛する人に精一杯生きて欲しい
」という「
生への願望
」を持っています。
ここでいう「
人でなし
」の定義は、そういう、
人の持つ「生への願望」を踏みにじって平気な人間
のことです。
人は、“人権”という概念によって、全ての人は人であるがゆえに生きる権利を有しているというのが常識とされています。
しかし、人権というものは、
人間社会の中でそこに属する人間相互の同意のもとで成り立っている人間同士のルール
です。
人権は人間社会を離れて通用するような絶対的な真理などではありません。
人間社会を離れて、
世界の中で人間にのみ絶対的な生きる権利が与えられていると考えるのは間違い
です。
人間社会がその社会の構成員に対して与えているものであると考えれば、
どういう人間に対して生きる権利を与えるか
、ということは、
構成員同士の議論によって決める
べき問題になります。
人権とは、「人が人であるがゆえに保有している世界の中で存在する権利」などではなく、「
人間が社会の中で生きるうえで、人がみだりに生命・財産を脅かされないよう、またお互いにより良い「生」を追い求めることができるようにという目的のもと、構成員同士の同意のもとで成り立たせているルール
」に他なりません。
“人権”とは、正確に言えば「
社会の中で生存する権利
」に他なりません(「
「人権」というよりは「社会の中での生存権」
」)。
なぜ生きる権利が創られたかといえば、
「精一杯生きていたい」という思いや「愛する人に精一杯生きて欲しい」という「生への願望」を持っていたから
です。
その願いを叶えるために、人は知性によって“生きる権利”を創り出したのです。
生きる資格があるから生きる権利を主張したのではなく、生きていたいと願ったから生きる権利を主張したのです
。
そして、社会の構成員として、
「生きる権利」を享受しようと思ったなら、最低限守らないといけないことは、他人が持つ「生への願望」を尊重する
ということです。
人権はヒューマニズムの精神からつくられたものです。すなわち、人は人であるだけで高い価値を有しているので、大切にされなければならないということです。
だから、今の社会では、子供をさらっていたずらをして殺害する人間や、善意を持つ他人から金をだまし取るような人でなしにまで「人権」を考慮しないといけないのです。
人間社会の持つべき役割は
人間が生活環境を生き抜いていくための共同体となる
ということと、もうひとつは、
その中で暮らす個々の構成員がより良い「生」を求めて精一杯生きることの助けとなる
ことだと思います。
社会の中で
何より最も大切にされるべきは、今、精一杯生きている人の「生への願望」が大切にされること
です。精一杯生きている人間がいるなら、まずその人の思いが何より最優先に守られるべきです。
他人の「生への願望」を踏みにじるような人間が更正できるかどうかは二の次です。
「生への願望」が薄れていたり、欠如している人には、社会として、その人が
「生への願望」を取り戻せるようにバックアップをして、まっとうな構成員に戻れるように補助
をしなくてはなりません。
その助けの源泉となる思いは、
補助をされる人間に対して社会が「精一杯生きて欲しい」と願う気持ちを持つ
ことによるものです。
人の命に価値があるから助けるのではありません。
生きて欲しいという願望を社会が持つからこそ、その社会の願いを叶えるために助ける
のです。助ける人たちが行動するのは、
助けてあげたいという願いを叶える
ためであり、自らのやさしさや思いやりといった
人間性を尊重
するからです(「
ヒューマニズムから人間性尊重主義へ
」)。
そして、他人の「生への願望」を踏みにじる「人でなし」への対処は、
まずまっとうな構成員に危害を加えないように社会から早く隔離をする
ことです。
そして、もう一度「生への願望」を持てるように努力し、
持てるようになってからのみ社会に復帰
させるべきです。
他人の「生への願望」を傷つける可能性があるなら、社会に出してはいけません
。
できないなら、残念ながら「人でなし」であり続ける人への対処は「排除」しかありません。
「人でなし」に社会の中で生きる権利はありません
。
「人でなし」にも人権はあるでしょうか?僕はないと思います。
何より、
「人が人である限り全ての人には生きる権利がある」という考え方がそもそもおかしい
と思うからです。
生きる権利は、
「生への願望」を大切にするからこそ、お互いを大切に扱いましょうという、人間社会の最低限のルール
です。
最低限のルールを守れないような人間は、社会の構成員などではなく、従って「社会の中で生きる権利」などはない
からです。
他人の「生への願望」を踏みにじり、それをなんとも思わず、快楽さえ覚える人間は、社会の中でのうのうと存在していてはいけません
。
そんな人間に、社会の中での居場所はありません。
娘を持つひとりの親としての思いです。
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