人畜共通感染症について


 病気により動物の種を越えて移ったりすることがあるものもあります。それを人畜共通感染症といいます。

狂犬病
ウイルスによって移る病気で、日本では約半世紀にわたって発症はありません。しかし、一部の島国を除き
世界中で毎年発症し、多数の死者が出ています。全てのほ乳類が感染する可能性がありますが、人間に感染を起こす原因のトップは犬による咬傷です。草食獣では虚脱状態になって弱って死ぬことが多いですが、犬では狂騒状態になって人を咬む様になることがあります。
致死率は
100%です。発症したら通常助かりません。
海外との犬の行き来は普通にあるため、犬に対する注射は義務となっています。日本で半世紀発症が見られないのは予防注射を義務化させた成果といわれています。

犬回虫ネコ回虫
ひも状の寄生虫で、特に幼犬・ネコの便に排出されます。生まれながらにお母さんから感染していることもあります。
人間に感染したときには
幼虫移行症といって、幼虫の状態の虫が体の中を移動し、神経、眼、内臓、筋肉で悪さをし、様々な症状が出ることがあります。

トキソプラズマ
ネコを最終宿主とする寄生虫で、
妊婦への感染で新生児に障害を与えることがあります。ネコは実際より悪者にされている部分があり、実際には生の豚肉の方が危ないです。

Q熱
Coxiella burnetiiという細菌の感染によるもので牛・羊・山羊の糞便に含まれるほか、最近では身の回りの動物ではネコからの感染が注目されています。
動物では不顕性感染が多いですが、人間に感染・発症した場合は
発熱・呼吸器症状・筋肉痛などインフルエンザと似た症状を起こします。

オウム病
クラミジアという細菌とウイルスの中間のような病原体によって起こる病気で、オウム・インコからの感染が多いですが、それ以外のトリからも移ります。
トリは感染していても症状が出ないことも多いです。人では
発熱・呼吸器症状・筋肉痛などインフルエンザとよく似た症状を示すほか、重症では肺炎を起こすこともあります。

レプトスピラ
細菌によって起こる病気で、野外でネズミの尿を通じて感染することが多いですが、犬が感染するとその犬の尿からも菌が排出されます。
肝臓や腎臓にダメージを与え、発熱と嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。
犬ではワクチンがあるので、野外によく行くコはうっておいた方がいいでしょう。

ねこひっかき病
バルトネラという細菌によって起こる病気で、ネコに咬まれたり引っかかれたりしたときに移るほか、ノミが媒介しているという報告があります。
症状は
発熱したりリンパ節が腫れたりします。特に脇の下のリンパ節がポッコリ腫れることが多く、ひどいと中に膿がたまります。

・感染を防ぐには?
1.キスや口移しでエサを与えたりしない。
2.便の取り扱いに気をつける
3.幼犬・ネコでは寄生虫検査をしておく。
4.ゴハンの前には手を洗う
5.動物自体が病原体をもらわないよう気をつける
などに気をつける必要があります。どんなにかわいい動物でも、人間とは違う動物です。きちんとけじめをつけて生活する必要があります。